契約社員に関するポイント


●有期労働契約とは
期間の定めのある労働契約
労働関係の始まりと終わりの時期が定められている労働契約


● 契約期間の上限
原則3年まで。更新も同じです。


☆注意点
期間を何回も更新する場合、更新が続くことへの労働者の期待、更新が暗黙の了解となっていると認定される場合、期間の定めのない労働者と変わらないという判断から、更新拒絶に解雇と同様の厳格な要件が要求される場合があります(最高裁昭和49年7月22日、昭和61年12月4日判決)。


〈判断要素〉
1 業務の客観的内容
従事する仕事の種類、内容、勤務の形態
例、仕事の中身が正社員とほとんど変わらないか
2 契約上の地位の性格
地位の基幹性、臨時性、労働条件が正社員と同一性があるか
例、非常勤講師(神戸弘陵学園事件最判平2.6.5労判564号7頁)
3 当事者の主観的態様
継続雇用を期待させる当事者の言動、認識の有無、程度等
例、会社が労働者に長期雇用を期待させる言動をした
4 更新の手続、実態
契約更新の状況、契約更新時における手続の厳格性の程度
例、期間満了のたびに新契約手続締結の手続を直ちにとっていない。
5 他の労働者の更新状況
同様の地位にある他の労働者の雇止めの有無
例、期間満了で雇止めされた例がほとんどない
6 その他
有期労働契約を締結した経緯、勤続年数、年齢等の上限の設定等


● 更新の有無の明示等
労働基準法14条2項、有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準(平成15年厚生労働省告示第357号))
更新の有無、更新するかしないかの判断基準を契約締結や契約更新時に書面で明示することとされています。


※更新の有無の明示の例
「自動的に更新する」
「更新する場合があり得る」
「契約の更新はしません」


※更新するかしないかの判断基準の例
「契約期間満了後の業務量により判断する」
「勤務成績・態度により判断する」
「労働者の能力により判断する」
「会社の経営状況により判断する」
「従事している業務の進捗状況により判断する」


※雇止めをする際の予告
あらかじめ契約を更新しないことを明示している場合を除き、契約期間満了日の30日前までに、更新しないことを予告する。
予告後、労働者が雇止めの理由について証明書を請求した場合は、遅滞なく証明書を交付する。
予告につきましては、対象者を雇入れの日から起算して1年を超えて継続雇用されている者、有期労働契約が3回以上更新されている者に限るとはされていますが、トラブル防止の観点からは、なるべく行うことが望ましいと考えられています。


※雇止めの理由の明示例
前回契約更新時に、本契約を更新しないことが合意されていた。
契約締結頭書から、更新回数に上限を設けていた
担当業務が終了ないし中止した
事業縮小のため
業務遂行能力が十分でないと認められるため
職務命令に対する違反行為を行ったため
無断欠勤など勤務不良のため
など


※契約期間についての配慮
 使用者は、契約を1回以上更新し、かつ、1年を超えて継続して雇用している有期契約労働者との契約を更新しようとする場合は、契約の実態及びその労働者の希望に応じて、契約期間を出来る限り長くするよう努めなければならない。


● 就業規則について
 有期労働契約者に対する就業規則が存在しない場合、通常の就業規則が適用されます。
 したがって、通常の就業規則を適用しない場合には、適用される就業規則を明示すべきです。


※注意点
給料、労働時間など正社員と異なる扱いをする場合には、就業規則にそのことを明示する必要があります(そうでない場合、通常の就業規則の退職金規定が適用されてしまうおそれもあります。)。できれば「契約社員就業規則」のようなものを作成することが望まれます。
有期労働契約者がパートタイマーの条件を満たす場合(1週間の所定労働時間が同一の事業所に雇用される通常の労働者の1週間の所定労働時間に比べて短い労働者)には、パートタイマー就業規則が適用されます。
パートタイマーにあたらない場合でも、パートタイマーと労働条件が変わらない場合には、パートタイマー就業規則と一本化する方法も考えられます。別個に作成する場合にもパートタイマー就業規則を参考に作成されることが多いようです。
 なお、労働基準法上、就業規則に有期労働契約締結時の明示事項について明記しておらず、更新の有無と判断基準を就業規則に記載することは望ましいとはされていますが、必ずしも必要はありません。
 有期にする理由がさまざまであることから、一律に就業規則に記載することには困難な事情があると思われます。


● 有期労働者からの退職
いつでも可
ただし、予告期間が必要と解されています(民法628条準用)


● 期間満了による契約の終了
解雇でないので労働基準法20条の適用対象とはなりません。
しかし、期間中の解雇については解雇予告が必要です。
反復更新されて、継続雇用の期待が生じている場合にも、解雇予告制度が必要です。