☆  ☆  公務員と懲戒処分

身分保障(国公74,75,地公27)∵恣意的な人事の禁止(成績主義の維持)&労働基本権の制約の代償
   但し,臨時的職員,条件付採用期間中の職員には不適用(国公81,地公29の2)
      人規11-4・8,9  なお,教公特4〜6,9 
懲戒:戒告,減給,停職,免職(国公82第1項,地公29第1項)
懲戒処分の裁量:懲戒処分をするか,どの懲戒処分をするかについては,任命権者に裁量。
        基準として,人事院作成「懲戒処分の指針について」
懲戒処分の事前手続
  処分理由と不服申立の教示を記載した説明書を処分と同時に交付
   (国公89第1項第3項,地公49第1項第4項)
    交付対象:降休,降任,求職,免職,懲戒処分その他著しく不利益な処分
       (国公89第1項,地公49第1項)←意に反する転任処分,年次休暇取消処分等も含みうる
処分の名宛人となる職員は,これにあたると思料するときは,説明書の交付を請求可(国公89第2項,地公49第2項)。
行手法の適用はなし(3第1項9号)。但,適正手続の要請から問題はある。

●救済手続
 一般職
  人事院,人事委員会,公平委員会に対する行政不服審査法に基づく不服申立て
(国公90第1項,地公49の2第1項)
  特定独立行政法人及び現業の国家公務員に対する不当労働行為にあたる行為
特定地方独立行政法人及び現業地公法務員に対する不利益処分
行政不服審査法不可(特行等労37第3項,地公等労17第1項,)
   ・審理手続
     国家公務員…人事院規則
     地方公務員…人事委員会規則or公平委員会規則
   ・性質
    ① 審査機関の独立性が担保されている
(国公8,9,人規13-1・21,22,地公9の2第6項第7項)
    ② 請求者が口頭審理の公開を請求した場合は,原則公開
     (国公91第2項,人規13-1・30第3項,地公50第1項)
    ③ 対審構造による手続がとられる(人規13-1・30以下)
  準司法手続→不服申立前置主義(国公92の2,地公51の2)
     但し,実質的証拠法則なし,裁決主義不採用
    修正裁決→原処分は当初から修正どおりの法律効果を伴う懲戒処分として存在
        →修正裁決の結果を争うには修正された原処分の取り消しを求める
         (最判昭62.4.21民集41巻3号309頁)
 ・特定独立行政法人等の職員に係る処分であって不当労働行為に該当するもの
    直ちに取消訴訟提起可
    但し,不当労働行為に該当しない瑕疵を当事者が主張し又は裁判所が審理する場合には,人事院に対する不服申立をしてその裁決を経ることを要する(国公92の2)。
       経ない場合,主張・審理が制限される。
      (最判昭49.7.19民集28巻5号897頁)
 ・給与の決定についての審査の申し立て
   一般職の所員の給与に関する法律の規定による給与の決定に苦情
    →人事院に審査の申立て(給与法21第1項)→人規13-4・14
・苦情相談
  インフォーマルに処理
  人事院は,人事院事務総局の職員のうちから職員相談員を指名し(人規13-5・3),人事院の指揮監督の下に,指導,あっせんその他の必要な措置を行わせる(人規13-5・4第1項)。



裁量権の逸脱濫用はある。